事業再生の現場から

ザ・再生の現場から②

前回の続き…

再生支援協議会が入って「金融調整会議」まで開いて向こう3年間の資金繰り支援を全取引金融機関にお願いして各行が合意したという事は、A社自体がキビシイ財務状況にあり、取引金融機関が「我先に・抜け駆けして」A社の事業継続に必要な経営資源の収奪(具体的には事業資金の回収)する事は控えましょうという「紳士協定」に賛同・合意しているという事です。

要は「皆が協力してA社の資金繰りを支えましょうね」という「約束事」ですね。

そんな中で起きたメインB行による「融資金回収」でしたので、A社長も驚いた訳です。

 

私の方からは以下の問題点を指摘しました。

①問題の手形貸付は「売上(掛)金回収」を返済原資として融資しただろうに、他行から調達した融資金をもって回収する事に問題は無いのか?

②B行がメイン行として県中小企業再生支援協議会(以後「支援協」と呼びます)に案件を持ち込み「金融協定」まで締結する音頭を取ったのに、他行に内緒で融資残を回収して圧縮した事に問題は無いのか? 若しくは融資をしてくれた政策金融公庫や他行に回収の事実を報告できるのか?

③日本政策金融公庫は「支援協」スキームにも参加する中で、新型コロナ対策資金として(リスケ中にも関わらず)国の政策を背景とした特例に近い形で融資してくれたモノだが、その資金として知ったうえで自行の融資金を回収原資とする事に問題は無いのか? 監督官庁からは、コロナ対策資金で自行融資を回収することはOK的なそのような指示が出されているのか?

担当者Cは”説明にならない説明”を繰り返しますが、話になりません。

凡そ勝負は着いています。

あまりにB行は「やり過ぎた」のです。

 

思いがけず他行から「資金調達」に成功し残高の増したA社の預金を見て「これ幸い」と、スポット資金対応していた手形貸付の期日に合わせて「回収」、その後の融資は業績動向を見てペンディング…そんな判断に傾いたのでしょう。

よくあるパターンです。

でも「返済後の折り返しはいつも通りで大丈夫ですから、いったん返済してくださいね。返済原資としていた売上金が未入金でもこの前公庫から調達したおカネが口座に残っているでしょう。あれを返済に充ててくれれば良いのです。モタモタしていると手形の期限が来てしまいますよ」とA社長を言いくるめ、手形貸付を回収しちゃってからは「なんやかんやと理由をこねくり回して」肝心の折り返し融資には応じないというメイン行。

昔から○○銀行では…とか、

××銀行ではそれで何社も潰されたよ、とかよく聞く話ではありますが…。

現場ではこんなことが毎日のように繰り返されている訳です。残念ながら…。

 



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