事業再生の現場から

テックコーポレーション破綻の余波

今年3月に自己破産を申し立て、現在債権者集会(7/19予定)に向けて管財人弁護士の手によって、「債権・債務」の集計が進められていると思われるテックコーポレーション(本社・広島市)経営破綻に関して、「詐欺まがいの商売が行われていたのではないか?」との記事が紹介されています。

東京商工リサーチがテック社の経営破綻後も、その販売代理店を巻き込んだ売上金回収方法に疑念を持ち、粘り強く取材を続けて結果が、徐々に明るみに出されて来ました。

同社の記事によると、テックコーポレーションの経営破綻による負債総額は約192億円、債権者数は400名を超え、3月の破産申立以降、連鎖倒産は10社を超えているそうです。

記事の中で明らかにされている商流、売上代金回収までのスキームはTSR(東京商工リサーチ)社がリリースしている内容を確認していただきますが、特筆すべきは「販売代理店の手形をテック社が商品納品前に預かる(回収)する形をとっている事」と「販売代理店が保有する在庫をテック社が寄託される形態を取っていて(混在管理)、代理店自身も自社の在庫を目視し難い状態になっていた事」でしょうか?

手形の先行受領は「手形割引によるテック社の資金繰り支援」が容易に思い着きますし、中には「実際にモノが売れているのか確信が無い取引、たぶん架空取引であっても5%の利益がチラついて目をつぶって来た」と取引先が懐述するような取引が横行していたと言います。

だとしたら、そんな取引に起因して振り出した手形は「融通手形」という事になります。

取引先の金融を助けるために振り出す手形ですが、こんな商流はいずれ破綻する事は「火を見るよりも明らか」な事です。

振り出した手形決済ができなければ、即不渡り倒産ですし、仮に何とか不渡りを回避しても、決済するために無理を重ねたとしたら、今後じわじわと会社の体力が奪われて行く事でしょう。

今のところ10社くらいで「連鎖倒産の輪」が止まっているようですが、何かをきっかけに更に悪い影響を受ける事があれば、例えばテック社の「融手操作の協力者」とのレッテルが金融機関に貼られるとすると、経営には大きなマイナスとなって現れる事になります。

同社の経営破綻の余波は、まだ続きそうです。

 



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