事業再生の現場から

分獲り合戦の様相…セーフティネット融資を巡って②

金融機関による「セーフティネット(保証)融資」の争奪戦模様を前回お伝えしましたが、過熱する都内の様子に比べて、栃木県内(地方)はまだまだノンビリしているようです。

ある社長さんに言わせれば「元々政府が言ってる”好景気”の恩恵を受ける中小企業事業者が地方には少ないので、今回のコロナウィルスの騒ぎで冷や水を浴びせられたように需要が何割も無くなってしまった、という会社自体が少ないんだよ」という事であり、「なるほど、それもありますね」と反応したくなります。

ただ景気の波は、通常「大企業から中小へ」「都会から田舎へ」となるのが”通説”ですから、単にまだ地方に「景気腰折れ」の気配が伝わって来ていないだけなのかも知れません。

 

そんな中ですが、昨日セーフティネット融資を巡って次のような話を聞きました。

日本政策金融公庫にセーフティネット融資の相談に行かれた社長さんの話です。

この会社は民間金融機関数行と政策公庫からも借入があり、いずれも返済に窮して借入金返済の「条件変更(リスケ)」支援を受けています。

メイン行(民間)に「コロナウィルス関連融資を検討して資金繰りを支援して貰えないか?」と打診したところ、「信用保証がリスケ中を理由に取り上げてくれないので、セーフティネット融資はできない」との回答だったそうです。

まぁ、よくある話です。

 

ところが社長は諦めず、やはりリスケ支援を受けている日本政策金融公庫の「コロナウィルス対策窓口」を訪れたそうです。

自社の現状(対前年比売上が30%超減少中)を伝え、新規資金の調達を懇願したところ、予想に反して「検討しましょう」という事で「謝絶」される事なく、次回の面談に話が繋がったと喜んで私のところに電話を架けてくださいました。

これは都内の中小事業者の例ですが、「リスケしたからもう金融機関からの融資は無理」とは言い切れず、メイン行に融資を断られたからと言って「事業継続を諦める必要は無い」、まだ政策公庫に判断を仰ぎ受け入れられる可能性はあるんだ、という現実があると言う証左です。

 

金融機関関係者によると「政府(金融庁)から、セーフティネット融資の適用についてはよくよく事業者の事情を鑑み、柔軟な対応を取るように」と通達があったとも聞きます。

官民挙げて、コロナウィルス騒動で傷ついた経済活動を再生させようとの動きが始まっています。



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